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Blindfold
第13章 つぼみ
「あーーー疲れたーーーー」
タバコを咥えながら、ソファーに腰掛けた店長は、天井を仰ぐ。
煙が上へ立ち昇っていくのを眺めて、私はカウンターに腰掛けた。
樹が座った席。
わずかに残っている水滴を指でなぞって、カウンターに目的のない絵を描く。
「たくさん来ましたねぇ……」
活気に溢れていた店内。
「……結構この店、愛されてるんですね」
「急に閉めたこと、何回謝ったか分かんねぇわ」
そう言いながら、体を起こした店長は、首に手をやり俯きながら、ふぅと息を吐いた。
タバコの煙を吐いたのか、ため息なのか、どちらもなのか、それは分からない。
「もう倒れらんねぇな」
グルグルと、凝りをほぐすように腕を回す。
そして、その反動で立ち上がると、フラフラと歩きながら私の前に来た。