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Blindfold
第14章 自立
「……お姉ちゃん…?」
じっと見つめたまま何も言わないお姉ちゃんに声を掛ける。
すると、お姉ちゃんは、切なげに視線を落とした。
「私……怒ってないよ」
「ん……?」
脈絡が欠如した言葉。
それだけが浮遊して、掴めない。
何のことなのか、尋ねようとしたら、またお姉ちゃんは口を開いた。
「桜と……和明のこと…」
その瞬間、まるで時が止まったかのような感覚に陥って、思わず重ねられた手を引っ込めた。
「────っ……」
窓から、風が入り込んで私を一気に包んだ。
過去のことが思い出されて、身体が震える。
事故に遭ったお姉ちゃん。
目覚めるか分からない。
心の隙間に入り込んだ邪悪なもの。
生きているのか、死んでいるのかも分からないほどだったかずにぃ。
────────────目隠ししたら
壊れたテープレコーダーのように、かつての自分の言葉が途切れにこだまする
────────────私の事…お姉ちゃんだと思って
「私っ……」
────────────抱ける…────────?