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Blindfold
第15章 花言葉

─────────言いたい時に言いたいことをいっておけば、こんなことにならなかったのね
お姉ちゃんはさっきそう言ってた。
もう自分の気持ちから目を背けることも、誤魔化すこともしたくない。
だから私は、自分の言いたいことを
そして伝えたいことを胸に、ここへ来た。
「桜…」
甘く囁かれて苦しくなった。
そして店長の肩越しに、髪をかきあげる幸さんが見えた。
「ちょっと…外の空気吸ってきますっ…」
伝えなければ後悔するかもしれない。
そう学んだばかりなのに、あと一歩の勇気が出ない。
「おいっ…」
私は、店長の腕をくぐって、逃げるように店の外へ出た。
「はぁっ……」
先ほどより冷たくなった空気が、私の身体を宥めるように冷やす。
かずにぃの時とは、また違うこの苦しさ。
幸さんのことが気になる上に、どういうタイミングで、なんと言ったらいいのか分からない。

