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Blindfold
第16章 この恋に気付いて
顔が近くて、心臓の音が聞こえてしまいそう。
はぁ…と切なく息を吐いた店長は、しばらく目を瞑ると再び私のことを至近距離で強く見つめた。
「……俺は…バツイチのいい歳した大人なんだよ」
「…………」
「─────…その大人が、10も年下の女に、『本気で惚れた』なんて、言えると思ってんのかっ…」
「っ………」
いつもの茶化しているような素振りは全くない。
まるで真剣な店長の切ない呟きが、身体中に染み渡る。
「それに…散々な目にあってズタズタのお前に、俺の気持ちぶちまけても……余計な悩みを増やすだけだろ」
唇を噛んだ店長は、床に視線を落とす。
そして、
「だから言える訳ねぇ」
と力なく言葉を発した。
「………だったらっ…花も植えなきゃいいじゃないですかっ…!言える訳ないとか言っておいて“この恋に気付いて” なんてっ…そんな乙女みたいな花植えてっ……」
初めてきいた彼の気持ち。
それが嬉しいはずなのに、溜まった不満が爆発している。