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Blindfold
第17章 目隠しはいらない
やべ、と言いながら、店長はコンロの火を止める。
私はそれを黙ってみていた。
ヤカンから、店長が用意したポットに湯気を立ててお湯が流れていく。
「……お前のことは、お前に相談できねぇだろ」
「私………?」
あぁ、と言いながら、店長はテーブルの上にポットを置いた。
店長が……
幸さんに相談してたのって…私のこと…だったの?
「でも…っ、さっきキスしようとしてましたよねっ…」
「ちげぇよ!」
突然大きな声を出されて、身体を震わせていると、店長はあ…と自分でも驚いたようにして悪い…と謝った。
「……あれはっ……お前についキスしちまった時のことを話しててっ…どんな状況だったのか教えろってあいつが言うからっ…」
焦っている。
そんな彼が珍しくて、食い入るように表情を見ていたら、店長はカァと顔を紅くした。
「てか、ちげぇって言ってんだからもういいだろ!」
照れ隠しなのか、キッチンの上の扉を開けて、マグカップを探し出した。