この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Blindfold
第17章 目隠しはいらない
はぁ…とため息をつく店長を、少しにやけながら見つめる。
いつも余裕そうだと思っていたけれど、そんなことなかったようだ。
そんな新たな一面が見れたことが堪らなく嬉しい。
「お前こそ…」
ポットから、マグカップに注がれた紅茶。
ふわりと匂いが鼻を掠めた。
「本当にもうあいつのことは、いいのか?」
すぐに、かずにぃのことを言っていることが分かった。
「私今日……全てに解放されたんです…」
苦しかったこの2年間。
何もやっても気分が晴れなくて、自分にだけ朝が来ていないんじゃないかと思うくらいずっと目の前が真っ暗だった。
「解放…?」
「そうです」
店長は眉間に皺を寄せながら、心配そうに私を見ている。
「だからね、それを一番に店長に伝えたくて…」
マグカップを掴んで、中を見た。
美味しそうで、安心する香り。