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Blindfold
第17章 目隠しはいらない
「店長がいてくれて、本当に助かりました」
「───……」
「ありがとうございます」
照れくさくて、伏し目がちにそう伝えると、私は店長の入れてくれた紅茶をすすった。
あの時入れてくれた紅茶と同じ。
温かくて、幸せが身体全体に広がっていく。
そうか、と言って、私と同じように紅茶を飲む店長を横目でチラと見る。
「店長…」
「ん?」
「好きです…」
思わずそう言葉を掛けると、店長はマグカップを持ち上げたまま動かなくなった。
「……大好き」
「───…」
コトンと、小さく音を立てて、マグカップを置いた。
同じように、店長もマグカップを置く。
そして、口元を片手で抑えた。
「………36のオヤジに、突然そういうこと言うなよ」
少し怒っているような口調とは裏腹に、私の頭を静かに撫でる。
そして店長はそのまま、少しイスから身体を浮かし、顔を近付けると優しく私に口付けた。