この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Blindfold
第18章 Blindfold
思わぬ偶然と、まるで絵画のような二人の姿に息を飲んだ。
彼が王子なら、彼女は紛れもなくお姫様だ。
二人が想い合っているのは、聞くまでもない。
視線を交わした二人は、店先まで歩みを進める。
そして、紫のライトに照らされたradiceの文字をジッと見つめた。
「……久しぶりだな…」
「えぇ、本当に…」
そう会話をして、準備中の札がかかる扉を、彼が開いた。
ほんの少しだけ、夜の世界を垣間見る。
「幸ママ!!!!」
「桜子っ…!?」
桜子……
────────すごい美人な子なの。若くてねぇ…
────────そう言えば、その子に『桜子』って源氏名、付けて上げたのよ!
あの子が、幸ママが言ってた桜子さんだったのか……
偶然に偶然が重なって、私は一人で誰にも共有できない興奮を覚えていた。
本当に綺麗な子だ。
以前、道で会ったときは、つらそうだったけど、きっと今は幸せなんだろう。
一方的に知っただけで、知り合いというわけでないのに、彼女が幸せそうなのが嬉しくなった。
行こう…
私には私の居場所がある。
軽く微笑んだ私はそのまま歩みを進めた。