この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Blindfold
第18章 Blindfold
お店に着くと、花壇の前に見覚えのあるシルエットが目に入った。
タバコの煙が立ち上っているのが見える。
「店長!」
私が声を掛けると、振り返って、そしてタバコをくわえながら微笑んでくれる。
「おぅ。桜」
彼はいつも私を見つめて、そして名前を呼んでくれる。
「準備、しないんですか?」
「あぁ、そろそろ中入るか」
ふぅーと吐かれた白い煙。
開店前。
今日もきっとたくさん人が来る。
「桜」
店長ではない男の人の声。
不思議に思って振り返ると、手の平をヒラヒラとさせて、妖しく笑う男の姿があった。
「髪、切ったんだ?」
近付いてきた彼の名前を思い出す。
えっと…
確か…
「悠だよ、悠」
「あー…。北野……悠……」