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Blindfold
第21章 恋人への不満
わたしの不満をよそに、店長はタバコを咥えてライターで火をつけている。
その様子をジッと見つめる。
今まで、タバコを吸っている人に対して、いいとか悪いとかいう印象を抱いたことはなかったけど、店長はタバコが似合う。
というか……余計にかっこいい…とか思ってる私は重症なのかもしれない。
でも、そうも言ってられない。だって、やっぱ体に悪いんだし、量を減らせるならもう少し減らしてほしい。
それに、タバコに関してはもう一つ不満が……
「昼には戻るけど」
「……………」
「お前、ずっとここにいる?」
煙を吐き出しながら、店長が尋ねる。
バイト以外、私にすることなんてないし、今日はそれまで一緒に過ごすつもりだったんですけど…
「………いる…つもりです」
ところであなたはどこに行くんですか…
そう聞こうとしていると、店長はニコリと微笑んで私の頭を撫でた。
「じゃあ昼には戻っから」
「………はい」
「また飯作ってやる。待っとけ」
優しくそう言われて、トクンと胸が鳴る。
………キスしたい。
そう思う時、店長はいつもタバコを吸っているから、私がしたいタイミングで出来ない。
それが、もう一つの不満だ。