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Blindfold
第21章 恋人への不満
じゃ、と言って店長は立ち上がると傍にあった灰皿にタバコをもみ消した。
行ってしまう。
お昼には帰ってくるって言っているのだから、数時間だということは分かっているけれども、やはり寂しい。
そんな気持ちからか、行こうとする店長の服の裾を反射的に掴んでしまった。
「………何だよ」
ハッとして手を離す。
「っ……何でもないです…」
なにしてんだ…私…
子どもっぽい事をしてしまった自分が恥ずかしくて顔が紅くなるのを感じた。
最近本当に自分をコントロール出来ない。
こういう恥ずかしいことばかりしている気がして、嫌になる。
俯きながら、店長の足下を見た。
恥ずかしいから早く行ってほしいのに全然動かない。それに困っていると、突然顎を掴まれて、私は顔を上げながら目を見開いた。
「……昼には戻るっつってんだろ」
「………んっ…」
チュッと触れるだけのキス。
それだけなのに体が火照る。
………足りない。もっとキスしたい。
言えるはずもないことを思っていると、店長はすぐに私から視線を外して、そのまま足早に部屋を出て行ってしまった。