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Blindfold
第21章 恋人への不満
店長は、結婚していたことがある。所謂バツイチってやつで…。
つまり、一度は一生を共にしようと思った人と出会った訳…だ。
途端に気持ちが沈んで、私は頭を振った。
好きという気持ちと共に、経験したことのない独占欲が湧く。
過去なんか、もうどうすることも出来ないというのは分かっているのに…。
余裕なんか全くない。
大事にしてくれているのは何となく分かるけど、もっと一緒にいたいし、もっとキスもしたいし、もっと……
再び顔が熱くなるのを感じて私は両手で顔を覆った。
ずっとこんな調子。
まさか、自分が誰かと付き合うとこういう風になるタイプの人間だとは思いもしなかった。
指の隙間から、チラと時計を見る。
まだ店長が出てから10分も経っていない。
────────また飯作ってやるから待っとけ
「……お昼ご飯…何だろ」
朝ご飯を食べたばかりで、お腹も空いてないのに、そんなことを呟いた。
さっきまで店長が着ていた部屋着が枕元に畳まれている。
それに手を伸ばして引き寄せる。残念ながら、もうそんなに温くはない。それでも、強く抱き締めて行ったばかりの彼を感じる。
そのまま、再び布団を被ると彼の香りで充満した。
………やっぱ安心する。
そして、そのまま知らぬ間にまた私は眠ってしまった。