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Blindfold
第21章 恋人への不満
バターが溶ける香り。
甘いような、そんな香りが鼻腔をくすぐって心地よい。
それと共にジュッという焼ける音がして、私はゆっくりと瞼を押し上げた。
あれ……朝…?
……いや、違う。確か、店長が出掛けちゃって……
「やっと起きたのか」
少し口籠った声。
寝ぼけ眼をさすりながら、こんな声がした方を見ると、店長がタバコを咥えながらフライパンを持ってこちらを見ていた。
「もう帰ってきたの……?」
「………何言ってんだよ、もう12時過ぎてんぞ」
え、うそ。
びっくりして思わず時計を見上げる。
すると、店長の言う通り時計は12時15分過ぎを指していた。
こんなに寝てたなんて……。
そんなに疲れてるって訳じゃないのに、この部屋の威力はすごい。