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Blindfold
第22章 後輩
お店の、「Blindfold」の、スタッフを雇ったってことなんだろう。
人手が足りないから……?
そりゃ、まあまあ繁盛もしてるから週末は人も多いけど、何とか私と店長で回せてるって思った。
ていうか、人が足りなくて採用するんだったら、そういうのって私に相談があってもいいんじゃないだろうか。
信頼されてない……?
そんなこと、私に相談する必要ないって思われてるんだろうか。
「葵(あおい)って言うらしい。ちょっとまぁ、なんというか……手が掛かりそうではあるんだが」
葵………。女の子、だろうか。
「妹ができたと思って」
妹ってことはやっぱり女の子なんだろう。
それが分かってさらにモヤモヤが募った。
「妹なんか、いらないけど」
差し出されたカップを掴んでそういうと、店長が私の頭に手を伸ばす。
そして、いつものようにわしゃわしゃと私の髪をくしゃくしゃとすると、まあまあと子供をあやすようなことを言った。
「緊張しいなのを治したい、らしい。協力してやってくれ」
治したいって…
「手、離してください」
「はいはい」
そう言いながら、私の頭から手を離した店長は、タバコの箱を掴む。
「吸いすぎ」
私の指摘にややバツの悪そうな顔をする店長を私は紅茶を啜りながら眺めていた。