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Blindfold
第22章 後輩
次の日。
開店前、目の前で若い子がしどろもどろしているのを無表情で見つめた。
何か言いたがってるけど一向に言い出さない。
変なの。
見た目は所謂かわいい系ってやつだ。
小柄で、胸までの茶髪は、くるりとウェーブしてる。
「おいおい、俺だけじゃなくこいつにまで緊張するのかよ」
脇でタバコを咥えながら、店長がその子の肩を叩く。
「すみっません…っ…」
「落ち着いて、ほら深呼吸しろ」
手取り足取りって感じだ。
柄にもなく素直に優しさを見せる店長にむかっとする。
まぁそりゃ、こんなに若くてかわいけりゃ、採用もしたくなるでしょうね。
「わ、和田、葵といいます、あのっ」
「よろしく」
それだけ言って、私は上がっている椅子をさげようと奥へ向かった。
「おい、桜」
「……」
「頑張って挨拶してやってるんだからもっと───」
「そんなに緊張してどうするの?」
あっ……と葵が声を上げたのを聞いて、再び振り返った。
あいも変わらず子犬みたいにプルプル震えてて、それを店長が心配そうに眺めている。
「接客する気ある?」
「桜!」
キッと店長に睨まれて、身体が萎縮した。
「そんな言い方ねぇだろ」
「あ、あの……わたし!頑張るので……だから!迷惑かけると思いますけど」
本当に迷惑だ。