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Blindfold
第22章 後輩
「さぁ」
「絶対そうですよー!」
目をキラキラさせている葵に腹が立った。
それに気付いたのか、葵はハッと息を漏らす。
「あの、桜さん目当ての方も多いと思いますよ!」
型にはまったようなお世辞に、反応する気にもならない。
「あ、な、なんかお世辞っぽくなっちゃったけど、本当ですよ!桜さん美人だし、スラッてしてて手足も長くて───」
必死なばっかりに、手元にあったグラスがぐらぐらと揺れてテーブルから落ちそうになったのを、すかさず私が掴んだ。
葵はあっ!と声あげて、すみません!と大声で叫ぶ。
………ほんと、やってられない。
「ドジなんだから、話してないで仕事集中すれば?」
黙らせるつもりでキツめに言ったのに、きかなかったのか、へへへと笑って本当ですね、と頭をかいている。
苦手だ。
本当。
うまくやっていく自信どころか、やっていこうという気すらも起きない。
「葵、いじめられてねぇか?」
「────────」
葵の大きな声に釣られたのか、突然店長が現れた。
「あっ、ぜ、全然! 私がうまく出来なくてそれで…」
あわあわしてる葵は、チラと店長を見てまた目を輝かせる。
モヤっとしたものが胸に広がる。
この子……もしかして、店長のこと……。