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Blindfold
第22章 後輩
開店後、夜が深まれば深まるほどお客が増えていく。
まさに週末って感じのBlindfold。
ただでさえ気が抜けないっていうのに、葵のことも気にしなきゃいけなくて、いつもより疲れる。
「へぇ、新しい子?」
すっかり常連客である男───北野悠(きたの ゆう)が、ガラスを片手に私に話しかけてきた。
北野悠は店長と付き合う前、店内で私をナンパしてきた男だ。
あの頃、私は自暴自棄で…
この人に言われたからホテルに行ったのに、結局私は抱かれなかった。
んで、私と店長と付き合うことになってから、またナンパに話しかけてくるようになった。
身なりはいい。
見た目だって悪くない方だとは思うけど、とにかく軽いし何考えてるかも分からない。
自暴自棄だったとは言え、この人と関係を持とうとした過去の自分が今となっては恥ずかしい。
「かわいいなぁ〜ふわふわの、こう、“女子”って感じがするよね」
「で、注文は……?」
まるで無視した私の態度に、北野悠は気味悪くニヤっと笑った。
「安心して、俺ああいう子はあんまタイプじゃないから」
安心して、の意味が分からない。
「なんかめんどくさそうだろ?あぁいう子ってさ」
「……ご注文は」
「桜の方が断然面白そうだしね」
こっちも無視すれば、そちらも無視するっていう流れ。
忙しいっていうのにやってられない、と思って私はその場を離れようと振り返ると、彼はあぁちょっと待ってちょっと待って、と声を上げた。