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Blindfold
第22章 後輩
「まだいんのか、あいつは」
北野のおかわりのオーダーを店長に伝えにいくと、店長は呆れた様子でお酒を作り始めた。
「て、いうかあいつ出禁にしたつもりだったんだがな」
「店長が軽く言ったところでそんなの効力ないでしょ」
んー、とうなった店長をじっと見つめた。
少しは妬いてくれたりとかしているんだろうか……?
期待しながら次の言葉を待つ。
「まぁ、金落とすってんなら許すけどな。1.2杯でずっと居座られたら俺は追い出すぞ」
そういう問題……?
もっとなんかないのだろうか。
前だって、妬いてるとか言ってくれたけど、実際は全然そんな風に見えなかった。
気持ちが一方通行な感じがして、寂しくなった。
付き合ってから、いつもそうだ。
私ばっかり店長のことが好きで、悶々として。
何考えてるか分からなくて……。
「お前もあんま相手にすんな? あいつもそれで調子乗るから」
「別に相手に…してない」
これは真実だ。
わざわざ北野に私から話しかけにいくことはしないし、何なら、来た時は帰って欲しいオーラーを存分に出してるつもりだ。
「ならそれでいい。うし、これよろしく」
ほんと、あっさりだ。
『桜は俺のことが好きなんだし、あいつに取られることなんか微塵も心配してません』って態度に、苛立ちを覚えながら店長が出したグラスを掴む。
「おい、桜」
「……はい」
「まだ機嫌治ってねぇのかよ」
あなたが悪化させてるんですけど。