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Blindfold
第22章 後輩
やっと閉店時間になって、最後のお客が退店した。
「ありがとうございましたー」
力なくそう言って、外の扉にかかっている看板をクローズへの換える。
本当に疲れた。
体もだけど、それとは別になんだか今日は色んなことが頭をぐるぐるしたせいで、心身ともに疲れたってやつだ。
さっさと帰って、寝て忘れてしまいたい。
そう思うけど、別に葵は今日限定ってわけではない。
これから葵が入る日は同じ気持ちになるのかな……
考えるだけでさらにどっと疲れた。
やっていられない……。
深くため息をつきながら、店内に戻ると、カウンターに座る葵と、その背中をさする店長が目に入って眉をひそめた。
よく見ると、グッと唇を噛んでいる葵は今にも泣きそうにプルプルと震えている。
「おい、そんな落ち込むなよ。悪くなかったって」
「……ダメですよっ…全然……」
ただでさえ疲れてるっていうのに、まだこの子の世話をしなきゃいけないの?
本当にもう勘弁して欲しい。
何も見なかったふりをして、私は机に残っているグラスを回収しようと奥に向かう。
「店長にも……桜さんにも迷惑ばっかりかけて……っ…グラスだって割っちゃうし……」
「お客も言ってたろ? 初日なんかそんなもんだよ」
葵が押し黙る。
聞かないようにしたのに、どうしても聞き耳を立ててしまう。
「桜さんは…っ……」
「…………」
グラスを流しに運んでいたら、急に名前を呼ばれて私は動きを止めた。