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Blindfold
第22章 後輩


「大丈夫そうだな、よかった」

「……すみません…」

「あのなぁ。桜も偉そうにあんなこと言ってっけど、最初はゴキブリ出ただけで大騒ぎで大泣きしてたんだぞ」

「はぁ??」


思わず声を出すと、店長はふっと笑った。
大騒ぎで大泣きなんかした記憶ない。

そりゃゴキブリは苦手だけど、絶対に大袈裟に言われている。
それが葵のために盛られていると思ったらさらに許せない。


「とにかく最初はそんなもんだ。」


どうして、そこまでしてこの子を慰めるのか……

どうして、そんなに優しくするのか……

どうして……

どうして……


んん…と声を漏らした葵を優しく見つめる目。

そして、そっと葵にマグカップを差し出されたのを見て、私は目を見開いた。


「初日、お疲れさん」

「店長………」

「……これからもよろしく」


落ち着いた紅茶の香りが私まで届く。


どうして……

紅茶は、

私の特権じゃないの……?



堪えきれずに、視線を下げると手に持っていたグラスが目に入る。


私だって……


私は……



頭がごちゃごちゃして、手に力が入る。

そして、私は思わず持っていたグラスを“ 落とした ”


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