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Blindfold
第23章 夢
何杯目か分からないグラスを空にする。それをみて、幸さんがあらあらと言った。
「桜ちゃん、無理しないでね」
「大丈夫です」
お酒は強い方だ。
それに今日はとにかく飲みたい。
しかも、私のそばで幸さんがずっと話を聞いてくれるから、どんどんとお酒が進んでしまう。
さすがプロだ。
オーナーなら絶対忙しいはずなのにずっと私の相手をしてくれて、ここに来てよかった、なんてことをぼんやりと思った。
「まぁ嫌なのは分かるけどねぇー。ただ桜ちゃんが心配しているようなことはないと思うわよ」
「心配しているようなこと……って…」
「その葵ちゃんって子のことを達也はそういう対象として見てるわけでないってこーと」
緩く笑った幸さんから、視線を下げる。
本当にそう…だろうか。
男の人って若ければ若いほど、いいんじゃないの……?
「実際葵ちゃんに会ってないし、葵ちゃんといる時の達也を見たわけじゃないけど」
「すんごい優しい目でニコニコしながら見つめてましたよ」
思い出したらまたイライラして、一気にガラスのお酒を飲み干すと、ふふふと幸さんが笑った。
「笑い事じゃないです」
幸さんはごめんごめんというと、また新しいお酒を頼んでくれた。
「桜ちゃん?」
「はい」
「達也が桜ちゃんを見てる時、そんなもんじゃないわよ?」
え……?と言ったのと、グラスの中の氷がカランと鳴ったのが同時だった。
「……どゆことです…?」
再びふふふと笑った幸さんはボーイさんからお酒を受け取って私に渡した。