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Blindfold
第23章 夢
リップ音と共に、唇が離れる。
それが惜しくて、もっとしてほしくて、店長を見上げた。
店長も何か言いたそうにしている。
あまり見せない苦悶の表情にそそられて、さらに体が疼いた。
「だから……」
「店長………シたい」
ボヤけた世界の中でも、店長の喉がゴクリの鳴って動いたのが分かった。
「おい……っ」
「ねえ、いいでしょ」
こんな大胆になることはない。
でも、別に夢ならいいかという気持ちと、今どうしても店長に抱かれたい気持ちが高まって、私は店長のワイシャツのボタンに手を掛けた。
「さくら……っ…待て」
「──────なんで…?」
私の動きを静止するのように店長が手を掴んできたので、さらに私はそれを阻むようにして、強く店長を見つめた。
「ダメなのっ……?」
「………ダメとかそういう話じゃ」
「─────やっぱ、若い方がいいんだ」
「は………?」
私の手を掴む店長の力がフッと弱まった。
───────── あのちょいワルオヤジ、若い子が好きなのかな?
頭にこびりついた北野の言葉。
バカらしいことは分かってても、不安は拭えない。
若いだけじゃない。
私には葵みたいな愛嬌もないし。
「葵の方が……断然かわいいもんね…っ……」
「あおいぃ…??」
すっとぼけたような店長の声にムッとした。
葵には若さとか、かわいさとか、愛嬌とか、色々勝てないかもしれない、けど……