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Blindfold
第24章 飼い主
私は自分の着ている服を眺めながら、状況を頭の中で整理しようと、うーん…と小さくうなった。
私は、ここが居心地が良いばっかりに、ここに来たら時間構わずすぐ寝ちゃっていた。
けど、店長はそんな私を見て欲求不満になってた、し、私が疲れてるから寝ちゃうんだと勘違いして、葵を雇った……と。
つまり……
それって、葵を雇ったのは2人の時間を増やすため?と言っても過言じゃないってこと?
いや……
それは飛躍しすぎだし、都合のいいように考えすぎだろうか。
「おい、またそうやって余計なことあれこれ考えるな」
「だって……聞いたら気を遣えとか言うから」
んーーと唸った店長は頭をガシガシと掻いていた。
どちらにしろ変に勘違いしてすれ違っていた事が馬鹿らしくて、脱力する様に私も椅子に座った。
「まぁでも……確かに………余計なこと、考えすぎてたかもしれない、です」
紅茶を淹れてくれたマグカップを掴むと少しだけぬるくなっていた。
ようやく手に入った、日常の幸せ。
だけど今まで鬱々とした日々が長かったせいか、そういう状況に慣れなくて疑心暗鬼になっているのかも。
でも、きっとこの人は私を拒絶はしないし……
思っているよりも好きでいてくれてる、と思っていい、かな。
「そうだな」
「………もう少し言葉にしてくれると助かるんですけど…ね」
「お前に言われたくねぇよ」
「ん………」
結局、言葉足らずはお互い様、ってこと、なのか。