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Blindfold
第24章 飼い主


少しずつ、

自分の思っていることを言葉にする努力をしないといけないのかもしれない。

難しいけど、きっと彼は受け入れてくれるはず、だ。


空になったマグカップ。


珍しく店長も同じ紅茶を飲んでいるみたいで中身をのぞくと空になっていた。



「洗いますね」


「いや、いい、俺がやる」


「ちょっとは私にもやらせてください」


「………………」


「マグカップくらい洗えるし。そういうのの積み重ねで負担になりたくないです」



この際だから、少し強気にそういうと、店長が立ち上がった。



「別に負担じゃねぇよ」



そうやって言うのは分かってる。


マグカップを掴んで流しへ運びながら、はいはいと返事をすると、店長はそのままついてきた。



「俺がやりたくてやってんだ。」


「………分かりましたって」


「それに世話するのは飼い主の仕事だろ?」


「っ…人をペットみたいに…───」



そう言いながら、デジャヴの感覚に息を呑む。


飼い主……って、なんか前も……


───────── 一生世話してやっから… ちょっとは飼い主のいうこときけ…っ



あれ、どこで聞いたんだっけ……。

夢……?


思い出された店長の言葉に胸を高鳴らしていると、店長が流しの脇から私の顔をのぞきながら、頭に手を置いてきた。


「ペットとは思っちゃいねぇけど……」

「…………」

「……まぁでもあんまり甘やかすのもよくねぇのかもな」


少しだけ意地悪く笑っている店長は、言葉とは裏腹に私の頭を優しく撫でてきた。
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