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Blindfold
第25章 尊さ
閉店後、テーブルを拭きながらあれこれ考えを巡らせていると、葵がお疲れ様です、と言いながら近付いてきた。
「おつかれ」
変な誤解をした手前恥ずかしくてうまく顔が見れないで、いると葵は隣テーブルの椅子を上げていった。
「あ、あの……変な誤解、させちゃってすみませんでした……」
思っていた言葉と同じことを葵がいうので、返事に困って黙っていると、葵は手を止めて私の横に立った。
「怒ってますっ……?」
「いや………私こそ勘違いして…ごめん」
今度は葵が押し黙る。
変な雰囲気だ。
この子、苦手だし変な子だけど悪い子ではない…のかもしれない。
「あの…さ……」
「はい…?」
「私って、そんな…分かりやすい……?」
「そうですね、分かりやすいです」
すんごいキッパリ言うな………。
居た堪れないくて顔を片手で覆うと、ふふふと葵が笑った。
「あ、でも、まさかお付き合いされてるとは思ってなかったです! 両想いなんだろうなぁ素敵!!くらいに思ってたんですけど……」
「………恋人っぽくないってこと?」
「うーん、というより初々しすぎるっていうかなんていうか……」
そう言いながら言葉を探しているようで天井を見ている。
そんなに私と店長って子どもっぽいんだろうか……。
「もちろん店長は素敵ですけど、桜さんにメロメロな姿が素敵っていうかなんていうか萌えるっていうか……。桜さんはツンツンしてるくせに店長大好きな雰囲気ダダ漏れだしかわいいし、本当尊いし……」
ペラペラとノンストップで話す葵に、は、ぁ…と気の抜けた返事を返す。