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Blindfold
第26章 買い物


諸々の買い物を終え、レジに並んでいる時のことだった。



手際良く商品をスキャンされていくのを見ながら、鞄から財布を取り出そうとした時。


それよりも先に店長がジーパンのポケットに手を突っ込み、お金を手のひらに乗せて硬貨を数えてると、そのままお金を払い終えてしまった。



二人で袋に物を詰めながら、チラと店長のことを見る。




「………金がどうとか思ってんなら気にすんな」




なんで、そう、なんでもかんでも見抜くんだろうか…。


最近店長に特殊能力があるんじゃないかって気がしている。




「………それも、ですけど。店長、財布使わないんですか」



んあ?と言いながら、店長は私が詰めた袋も合わせて持ち上げる。



一つくらい持つけど、と思うがどうせ「いい」とか言われるのがオチだから諦める。




「使ってるぞ」


「………小銭、入んないやつ、でしょ」




だから、いつも店長はポケットに小銭を入れているのだ。




「ん、まぁ」



「小銭入れ、とか」



「あってもいいかもしんねぇけど、買いに行くのもめんどくさいし。まぁポケットに入れときゃいいし」




店長は、多分あまり物欲がない。


身の回りには使い古されたものばかりだし、それをあまり気にしているようには見えない。


それに、服を買ったりとかそういう自分の買い物をしているところを見たことがない。




私は誤魔化すように「へぇ……」と、なんてことのない返事をした。





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