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Blindfold
第26章 買い物
家に着いて、
ポロポロと泣いている私を見ながら笑っている店長をきつく睨む。
「笑ってないでどうにかしてっ……」
そう言っている間にも目が痛くて涙が止まらない。
まずは玉ねぎをみじん切りって言われたからやったらこのザマだ。
指切ったりしたくなかったし、雑だなんだと言われて馬鹿にされたくなかったから、丁寧に手元を見ながらやったのが悪かった。
結局バカにされてて本当に最悪だ。
「冷凍庫に顔突っ込んで瞬きするとに楽になるらしいぞ」
そんな嘘みたいな話を言いながら、店長はどうぞと言わんばかりに冷凍庫を開いている。
「そんな嘘騙されません!!」
「うそじゃねぇって」
背に腹は変えられない。
こうなったらもう笑われてもいいと思って私は言われた通り冷凍庫で瞬きをした。
「ど…?」
「……マシ、になった気がする」
なんでこんなことしてるのか……。
切なくなりながら、しばらくして顔を上げると、店長は何食わぬ顔で玉ねぎをみじん切りしていた。
「なんで平気なの……」
「いや…うーん? 慣れ?」
綺麗に刻み終わった玉ねぎをボールに入れた店長は手早くまな板を洗うと、冷蔵庫の前で涙を拭きながら突っ立っている私の見た。
「鶏肉、取ってくれ」
言われた通り冷蔵庫から取り出して、店長に渡すと、店長はまな板に鶏肉を広げた。