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Blindfold
第26章 買い物
「やっぱお金のことですか?」
「え………? いや、だから別に値段は……」
私も、そこまでお金を使う方じゃない。
それなりにあそこで働いているし、貯金もない訳じゃない。
「値段、ってよりも『Blindfold』で働いてもらったお金っていうのを気にしてるのかと」
葵の言ってることがピンとこず、ん?と首を捻ると、葵は「あ、ほら」と言葉を続けた。
「桜さんの稼いだお金、って『Blindfold』で稼いだお金、ですよね? それってつまりは、経営者である店長から払われている給料だから…」
「あー……」
「そのお金で店長のプレゼントを買うことに抵抗があるのかな、と」
正直、そんな考えはなかった。
けど、何だか言われたら確かにそうだな、という気がしてきてしまった。
「あ、いや、違うんです! で、結局、それはそうだとしても、桜さんが働いて得たお金ってことに変わりないから、気にしなくていいんじゃって事を言いたくて…」
黙る私をみて、葵は顔を歪ませている。
「なんか……私、余計なこと言いました……?」
「いや……」
店長は……絶対そんなこと気にしないけど……。
なんか、やっぱり、言われたらすごく私自身が気になってきてしまった。
葵の言う通り、お金に、あの金もこの金もないのは分かっているけど……