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Blindfold
第27章 掛け持ち
「radice」初日。
早めにお店に来るように言われた私は、着くやいなや幸さんにお店の裏に引っ張られ、されるがままの状態でいた。
渡された青いドレスを着た私は鏡を見てギョッとした。
「さ、幸さん、これちょっと……っ」
「素敵ーー!!! やっぱ桜ちゃんには青いドレスがいいと思ったのよ!」
「い、いや、でもちょっと足が出過ぎだと……」
そもそも私服でジーパンばっかりの私にとって、久々のスカートが落ち着かない上に、思ったより足が出ているのでさらに落ち着かない。
「大丈夫! これくらいがいいわ! だって桜ちゃん美脚だし、存分に見せていかないと!」
『達也の手前遠慮していた』とか何だとか言っていたくせに、やると言ったら完全にノリノリの幸さんに、私は「はあ」と腑抜けた言葉を出すことしかできない。
その後も私はまるで人形か何かのように幸さんにメイクだのあれこれを世話してもらった。
用意ができて、恐る恐るホールの方に向かうと、「えっ…!?」と突然大きな驚く声が響いて、声のする方を見た。
童顔に、あまり似合わないヒゲ。
もちろん、その人は、ここのボーイさんで店長のお兄さんである拓也さんだ。
「………す、ごい、なあ……」
少し後ずさるようにして私を見ている拓也さんに、途端に恥ずかしさが増した。