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Blindfold
第27章 掛け持ち
深夜2時頃。
自宅の家の鍵を開けながら、ふぅと息を吐いた。
ただいま、などともちろん言うわけもなく、部屋に入った私はそのまま洗面所へと向かう。
このままどっかに座ったらベッドに倒れようもんなら確実に寝落ちする。
すぐにシャワーを浴びてしまおう。
そう思いながら鏡の前に立った。
疲れた顔はしているものの、幸さんにやってもらったメイクのお蔭か、少し魔法のかかったような気持ちが残る。
キャバ嬢だなんて向いてないと思ったし、しんどそうなイメージがあったけど……
正直、結構楽しかった。
そもそも、「radice」は高級店だし、客層的に変な人もいない。
聞ける話は、普段自分の生活の中だったら聞かないようなことも多かった。
だからなのか、結構話に興味が湧いて、自然と話すことが出来たような気がする。
─────────── こいつは愛想ないから、出来ねぇよ
以前、幸さんが冗談で私をお店に誘ってくれた時、店長はそんな事を言ってた。
ちょっとは見返せた、だろうか。
まぁ、店長には内緒なわけだし、見返す機会もないわけだけど。
そういえば、今頃何をしているんだろうか。
いつも通りなら、きっとそろそろ寝るんだろうけど。
なんの気なしに、スマホを覗くとLINEが来ていて思わず「あ」と呟いた。