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Blindfold
第28章 疑惑



久々のお店に入って、説明できない慣れた匂いに身が包まれた。



数年、ここでバイトしてきて、知らぬ間にここが居場所になっている。


離れてみて、この場所に自分自身がこんなに愛着があることを改めて感じた。




「それで、親戚のおばさん、とやらの具合は大丈夫なのか?」




不意な質問に、ギクリと体が震える。


そうだった。店長と会えるのが楽しみで忘れていたけど、本当は嘘がバレないようにしないのいけないんだった……。




「はい、お蔭様で。あと数週間くらいで良くなりそうです」



平常心を意識して、ペラペラと話すと店長は「そうか」と返事をして、うぅと唸りながら伸びをした。


よかった。


きっとバレてない。


ホッと息をついたところで店長がじっと見つめてきたので、また目が泳いでしまった。





「俺は仕込み始めるけど…」


「………手伝いますよ」


「本当に大丈夫か? 寝不足な顔してるぞ」




指摘されて思わず自分の頬に触れる。


せっかくメイクしたのに、寝不足なのがバレるほどひどい顔ってことだろうか。




「上で寝ててもいいぞ」




………優しい。


この人、なんでこんなに優しいんだろう。


おまけにイケメンだし、落ち着いてるし、身長も高いし、ガタイもよくて筋肉質で……


あれこれ考えているうちに、


どうしても触れたいという気持ちが再び湧き上がってきて私の身体中を占拠した。


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