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Blindfold
第28章 疑惑
「上、行くか……?」
誘いに私は、顔を紅らめる。
そして、達也のシャツのボタンに手を掛けながら、じっと目を見つめた。
「……行かない」
「……………」
「我慢出来ない…っ…から」
「………─────」
「───── ここでいいっ…」
再び顔を近付けながら、「抱いて」と言い掛けたところで、カランと扉についているベルが鳴って、私と店長は飛び上がるように背筋を伸ばすと、そのあと瞬時に扉に背を向けた。
「お疲れさまです〜〜」
「………っ…お、おぅ」
声からして、葵だ。
バクバクと跳ねる心臓を落ち着かせて、私は自分の服装を見直す。
「……は、やいな」
「はい、授業早く終わったのと、今日久々に桜さんが来る日だから」
ゆっくりと振り返った私は、葵の方を見る。
すると、葵は「あー!」と微笑んで私に駆け寄った。
「桜さーーん! お久しぶりです! ちょーー会いたかったですー!」
「ひ、久しぶり」
変に髪が乱れてたりしないか、それが気になって私は手櫛で髪をとく。
葵はそんなのお構いなしでニコニコしたまま私のことをじっとみてきたあと、突然口元に手を当てて「あっ…!」と叫び出した。