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Blindfold
第28章 疑惑
正直に言うと、葵は「えーーー!!」と店長にも聞こえそうなボリュームで叫んだので、思わず私は葵に向かってシー!!と人差し指を立てた。
「ちょっともうっ…」
「あ、ご、ごめんなさいっ…」
再びヒソヒソ声に戻った葵は、項垂れる。
「もう、あの人…いくら桜さんがかわいくて美人だからってしつこいですよね、ほんと」
否定するのもめんどくさいほどの盛り盛りの表現を無視する。
「まぁ……いなしておけばいいだけだからいいんだけど」
「やり過ぎたら、私、あの人のこと殴ります!」
ファイティングポーズを取った葵に、はいはいと返事をした私は更衣室を後にする。
どうやら、北野悠といい、葵といい、私は変な人に好かれるみたいだ。
しかも何だかネチッこくて、私には到底理解できないタイプの人間だ。
いっそその2人でくっついてくれ、とすら思うけど……まぁそれもそれでおぞましい。
それに葵は彼氏がいるとか言っていたし……
まぁどうでもいい余計な事を考えないでおこう。
そう気持ちをリセットした私は、久々のバイトに少し胸を弾ませながら、仕事を始めた。