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Blindfold
第28章 疑惑


少し空いてきたのと、葵がいるのが救いだけど……



「ねぇー! 桜ーー!」



北野悠が私のことを呼んでいる。


絶対に何か良くないことが起こる。


ここは一旦聞こえないフリをして…



「あれ? 聞こえてない? あ、桜じゃなくてスミ────」



「─────── 呼びましたか!!!!」




またスミレと呼ばれそうになって私は北野悠のところにすっ飛んでいく。


それを見てまた嬉しそうにニヤニヤしている北野悠の腕を引っ張って私は店長に聞こえないように、顔を近付けてキッと睨みつけた。



「ちょっとっ……約束が違うじゃん……っ」


「だって、桜が無視するから」


「分かったから…! 余計なこと言わないで!!」



私の言葉に、北野悠は分かったんだか分かっていないんだか、「はいはい」と適当に返事をして笑っている。


不安を残す中、私は北野悠の腕を離すと、今度は北野悠が私の腰に腕を回して引きつけた。



「なっ……ちょっ……いい加減にして…っ」


「桜、一緒に飲もう」



確実に店長に聞こえる声。



「っ……なんであんたと飲まないといけないのっ…」



私が慌てれば慌てるほど、北野悠はニヤニヤと楽しそうに笑う。




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