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Blindfold
第28章 疑惑
「えー? なんで? 昨日は一緒に飲んでくれたのに」
「っ…………」
最悪だ。
確実に北野悠は『昨日は』って言葉を強調して、店長の方をチラッと見た。
そんな事言ったら誤解されるに決まってる。
慌てて店長の方を見たら、店長は案の定こちらを見ながら片眉を上げている。
「店長…っ……あの、違くてっ……北野悠が適当な事を────」
「────── あれ? 悠って呼ぶって昨日約束してくれたじゃん」
「っ……………」
さらに誤解を生むような、そんな言葉を付け加えて、北野……悠は微笑む。
今更ながら、どうして昨日よりにもよってこんなやつにバレてしまったのだろうと、恨むけどそれは何の意味もない。
「分かったからっ……黙って……っ」
「『悠、お願い』でしょ」
「っ………悠、おね、がい…」
またまた満足そうに笑った悠は、グラスに口を付ける。
店長には何をどう弁明すればいいのか……
下手なことを言ったら、結局嘘がバレてしまいそうでどうにも言いづらい。
「桜ー?」
「………なに」
「今度また『熱く飲み明かそう』」
「っ………訳の分かんないこと言わないで」
手を握られながら、また誤解するようなことを言う悠の言葉を慌てて否定して、思わず店長のことをチラと見る。
すると、店長は悠に近付いて「あのなぁ」と声を掛けた。