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Blindfold
第28章 疑惑
「これ以上、うちの従業員にちょっかい出すと、本当に出禁にするぞ」
「それは困るなぁ」
そう言いながらも、悠は私の手を掴んだまま離さない。
痺れを切らせた私は、「悠!」と叫んでその場から悠を扉の方へと引っ張った。
「桜ったら、強引だなぁ」
また店長に聞こえるように大袈裟に声をあげる悠を追い詰めて、強く睨みつける。
「今度『radice』来た時、サービスするから……っ。お願いだからこれ以上、余計なこと、言わないで! ていうか、今日はもう帰ってっ…!」
「その顔、そそるなぁ」
「まじめに話してるの!!」
店長には聞こえないように、でも強めにそう伝えると、悠は「分かった分かった」と言いながら、微笑む。
そして、私の肩の向こうを見て、また気味悪くフッと笑うと、また私の腰を掴んで引き寄せる。
「あいつ……今すんごい顔してこっち見てるよ…」
「───────……」
「今夜は……嫉妬に狂ったあいつに、抱き潰されちゃうんじゃない……?」
耳元で囁かれた私は、途端に顔が真っ赤になるのを感じた。
そして、そのまま悠は私の体を離すと、ポケットから多めのお札を出して私に握らせ、「じゃあね」と言って去っていった。