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Blindfold
第28章 疑惑
「っ……──────」
平常心取り戻そうにも、悠に余計なことを言われたせいで中々心臓の高鳴りが止まらない。
─────────── 今夜は……嫉妬に狂ったあいつに、抱き潰されちゃうんじゃない……?
店長がヤキモチ……?
早く誤解を解かなきゃいけないというのに、嬉しいとか、今夜への期待とか色々が相まって中々店長の方を向けない。
悠が去った扉を見つめて立ち尽くしていると、葵が駆け寄って私の顔を覗き込んだ。
「桜さん、大丈夫ですか……?」
「……だ、大丈夫」
「っ……なんか、顔真っ赤ですけど」
「違うの、なんかっ……暑くて」
ほんと、もっとマシな嘘つかないのかって自分に突っ込みたくなるような、言葉だ。
私は頭をブンブンと左右に振って、勢いよく振り返る。
けど、店長は変わらず、別にお客さんのオーダーに答えてお酒を作っている。
なんか……もしかして、悠にテキトー言われた……?
はぁ、と肩を落とした私はこのまま閉店までなるべく平常心を保ちながら色々と言い訳を考えていた。