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Blindfold
第28章 疑惑
閉店後。
粗方の作業を終えたところで、店長が、私の名を呼んだのでビクッと体が震えた。
はい、と返事をして、ゆっくりと振り返る。
グラスに、はぁと息を吹きかけ、クロスで拭きながら「あのな」と店長は言葉を続けた。
「今日の、あの、気味の悪い男のことだが」
もちろん、それは悠のこと、だろう。
「はい…」
「……別に誰とどう過ごそうと、お前の勝手だし、口出しするつもりはねぇけど」
「……………」
「隙を見せるような事はしない方がいい」
隙を見せる……と言うのは…
「別にそんな事はしてなくて…っ……今日は悠が、適当なこと言って───」
「─── お前はその『悠』に、何の弱みを握られてんだ」
どんぴしゃな事を言われて私は言葉を探す。
でも、やっぱり今店長に言えるような事は何もない。
「困ってんなら俺がどうにかしてやる。あんな奴の言いなりになんかなるな」
「……………」
見透かされてる。
やっぱり単純にヤキモチとかそんなんじゃなくて、私の心配をしてくれているのが申し訳なくなって私は俯きながら首を横に振った。