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Blindfold
第28章 疑惑
「別に………隙も見せてないし…弱みも握られてない」
「なら…急にあの気味の悪いやつと仲良くしたくなったってことか」
そんなわけねぇだろって言わんばかりの言い方。
「店長には……関係ないです」
否定もできず、私は店長の顔を見ないまま、そういうしかない。
正直、店長がめちゃくちゃ関係してるから言えない、のが正しいのだけれど……。
しばらく沈黙が続く中、葵が扉の前で「あのぉ…」と気まずそうに声を掛けてきた。
「……どうした」
「すみませんが…私、終電なので……」
冷や汗を流している葵は、私の方をチラと見て、とても心配そうな目をしている。
助けようにも助けられないし、どうしようって顔だ。
ハッとした私は、「待って」と葵を止めた。
「い……一緒に帰る約束してた、よね」
私の突然の問いに葵は「へ?」と声を上げている。
そんな葵をじっと見つめて念を送ると、「そうでしたね!」と話を合わせて葵は頭を掻いた。
「ごめん、すぐ荷物持ってくるから」
裏に急いで戻って、カバンを掴んだ私は葵の元に駆け寄る。
すると、店長が「桜!」と私の名を呼びながら手首を掴んで来た。
顔を見たら判断が鈍る。
やましい事はないのに何も説明出来ないのがもどかしいけど…
「葵の……終電があるので」
無理に腕を振り払って私は「お疲れ様です」と呟き、葵と一緒に店を出た。