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Blindfold
第28章 疑惑
「………はい」
ゆっくりと返事をして、落ち着くべく胸に手を当てる。
チラと葵を見ると息を潜めて、それはそれは不安そうな目で見ていた。
「あぁ、俺だ」
知ってます……。
画面に出るわけだし。
「どうかしましたか」
「いや、昨日話の途中だっただろ」
「………そう、ですね」
電話の中、変な間が空いて居心地が悪い。
フォローしようにも、余計な事を言いそうで言い淀んでしまう。
「次お前がこっち来るまでまたしばらくあるし、それまでこんな状態っていうのも気持ち悪りぃだろ」
「それは……まぁ」
おっしゃる通りなのだが、歯切れの悪い返事しかできない。
「お前がいいなら、今から……お前んちに寄ろうかと思ってんだが」
「えっ……う、うちですか…」
思っても見なかった提案に声がひっくり返る。
店長は少し間を置いたあと、「あぁ」と返事をしている。
うちに店長が来る……のはまずい。
というか、来るのがまずいというより、今直接会ったところでうまく説明出来ないのに変わりはない。
慌てた私は、「いや、」と言葉を続けた。
「もう…出ちゃってて。家にいなくて」
「…………そう、か」
「すみません。あと……次のシフトなんですけど、ちょっとおばさんの病院に付き添わないといけなくなっちゃって」