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Blindfold
第28章 疑惑
結局いい言い訳も思い浮かばず、それだけを一生懸命伝える。
けれど、店長は一向に顔を上げない。
まぁこんな説明で納得なんか出来ないだろうけど。
「だからっ……今日は帰ってください……っ」
「……………」
「ほんとに……ごめんなさいっ……!!」
深く頭を下げた私は、店長の返事を聞かないまま、そのまま扉を閉めた。
鍵とチェーンをして、その場にへなへなとへたれ込む。
状況がどんどんまずくなる………
わざわざ来てくれたのに門前払いして、本当に最低だ。
「……桜さん?」
背後から、お風呂から上がった葵が心配そうな声をかけてくる。
「誰か、来たんですか?」
「…………うん………………てん…ちょう」
「え」
同じく驚いた葵はタオルを体に巻きつけた状態で私の脇に立ち、扉の覗き穴から外の様子を見ている。
「ほ、ほんとだっ……」
「まだいる……の…?」
「いや、もう帰っていってます。え、てかなんで店長が? 桜さん出たんですか?」
ゆっくりと立ち上がった私は、はぁとため息を吐いて片手で頭を抱えた。
「宅急便かと思って………でも……違った」
「なんか話したんですか?」
「今は話せないって、話せるようになったら話すからって喚いて……扉を閉めた」
私のたどたどしい説明を聞きながら、葵は「おぅ……」と返事をしていた。