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Blindfold
第29章 スミレ
「お客様。申し訳ございませんが、当店、おさわりは禁止となっておりますので」
突然現れた拓也さんは、悠に微笑み掛ける。
悠は少し片眉を上げて不機嫌そうにしたあと、その手を振り払って鼻で笑った。
「なに…? こんなところにも桜を狙ってるやつがいるの?」
悠の発言に拓也さんは、ハハハと笑う。
それに、悠はさらに怪訝そうな表情を見せていた。
「いえいえ。大切なキャストですし─────」
「───── それだけじゃないでしょ? 俺そういう勘は鋭いから分かるよ」
少しだけ悠が詰め寄ると、拓也さんは私の方を見ながらニコリと笑う。
「そうですね、それだけじゃありません。彼女は…僕の未来の妹なので」
「っ………拓也さんっ…」
「妹………?」
まだ訳が分からないとばかりに片眉を上げている悠に、拓也さんは柔らかい表情を一変させると、悠に顔を近づける。
「俺のかわいい弟の彼女に触れんなって言ってんだよ」
何だか……
いつもほんわかな雰囲気を纏っている拓也さんの違う一面を見て、不覚にもドキっと胸が鳴る。
男らしく、少し乱暴な言葉、だけど、やっぱり根幹は優しくて……
そういうところが似てて、やっぱり拓也さんは店長のお兄さんだと自覚する。