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Blindfold
第29章 スミレ
「もう少し分かるように説明しろ」
ガシガシと頭を掻いた店長は、ポケットからタバコを出した。
そして、しばらくパッケージを眺めると、タバコを取り出すことはせずにそのまま少し乱暴に机の上に置いた。
「あの……やっぱり今は説明できなくて……」
もにゃもにゃと話す私のことを、店長はじっと見つめてきた。
少し切なげな表情を見せながら、何かを考え込んでいる。
お店とこの部屋の雰囲気も相まって、やっぱりかっこいいなぁなんて呑気なことを考えていると、店長は口を付けていなかったグラスを掴んで、ぐびぐびと一気に飲み干した。
「………いつならいいんだ」
「えと…大体1週間くらい」
「1週間は……まだここで働くのか」
「い、や……ここは一旦今日で最後ってことにしたんです…けど…」
再びお酒を作りながら、頭の中がグルグルとする。
そもそも一旦今日で終わりってことにしたのは、店長にもバレそうだったからな訳で…
もうここで働いていることがバレたのなら辞める必要がないのか…
いやでもここまで怒ってるし。
あれ……?
ていうか…店長が怒ってるのって……
「あの……やっぱ、色々変な嘘付いたりしたから、怒ってるんですよね」