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Blindfold
第29章 スミレ
恐る恐る質問すると、店長は私からお酒を受け取ってまた一口、二口と飲むとテーブルにグラスを置いて、私のことをじっと見つめた。
「別に…怒ってねぇよ」
そうはいうけど、これはさすがに嘘だと思う。
「お前が……何したいのか、何を思ってんのか分かんなくてイライラするだけだ」
怒ってないと言いながら、イライラするという、彼に言葉を返さないでいると、店長は艶いた視線を私に投げながら、私の腰を掴んで引き寄せた。
「っ……あの…店長っ…」
「…………何回言えば分かんだよ、俺の名前は『達也』だ」
至近距離で見つめられて、心臓が高鳴る。
少しだけウイスキーの香りが立ち込めて、いつもとは違う雰囲気に呑まれそうになる。
チッと舌を打った達也は、私の頬に手を添える。
思わずその手に自分の手を重ねていると、カサっと何かが触れて私は達也の手を見た。
指に巻き付けられた絆創膏が目に入って、私は軽く目を見開いた。
「怪我、したんですか?」
血が滲んでいて痛々しい。
「あの…貼り替えた方が───」
「──── 今、そんなことどうでもいいだろ」
私の言葉を遮った達也は、そのまま強引に私の唇を塞いできた。
びっくりする間もないまま、達也はそのまま私をソファーに押し倒して覆い被さる。
「っ……ちょっ…んんっ…」