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Blindfold
第29章 スミレ
対抗しようにも力の差が歴然でどうにもならない。
いくら個室とは言え、これはまずいんじゃないか、とかそういうことを思わないわけじゃないけど…
何より達也にキスされるのは嫌いじゃないから強く抵抗することもできなくて、私は達也からのウイスキーの味だけで酔っぱらったように頭をクラクラさせていた。
「んっ……あっ…」
あげく声まで漏らしてしまっている私に、それはそれは長く濃厚なキスを浴びせた後、達也は唇を離して私の体を舐め回すように見てきた。
霞がかった視界の中で達也を見上げながら、はぁと息を吐くと達也が私の腰を両手で掴んだ。
「今朝……俺が家に行った時」
「………はい」
「風呂場に……誰かいたよな」
「えっ……」
懸命に当時のことを思い出す。
今朝……
終電を逃した葵を泊めて…シャワーを貸してくれって言われて…
「あ、あの、あれはっ────」
「───── あのいけ好かねぇ悠とかいう男か?」
「え………?」
あまりにも予想外な発言すぎて…
ただ、達也は真剣な顔でこっちを見ている。
「抱かせたのか」
「えっ…? いや、ちょっと、そんなわけないじゃないですかっ…」
慌てて否定すると、達也は苦しそうな顔で「桜……」と囁きながら、再び私に覆い被さって私をギュッと強く抱きしめた。
「あ、あのっ……」
「……脇目振ってんじゃねぇよ」
「っ…だから…違くてっ…」
「お前は……俺のだろ……」