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Blindfold
第29章 スミレ
少し弱々しく吐かれた言葉に、胸がトクンと高鳴る。
いつも余裕のある達也が必死そうにしているのがかわいいとさえ思えてくる。
とはいえ、変な誤解をさせているのは良くないし、少し反省しながら、私は手を伸ばして少し唸った達也の髪に触れた。
「誤解させて……すみません」
「………………」
「お風呂入ってたのは、葵です。昨日終電逃しちゃったから泊めてて」
達也はまだ何も話さない。
きっと信じてないのかもしれない。
まぁそこまで信用を落としたのは私のせいだし……
「あの……今は私が何を言っても信用ないかもですけど…本当です。なんだったら葵に聞いてください」
「それに…」と私は言葉を続ける。
「あのっ……もう私達也としかそういうことしたく…ないから、だから…他の男の人とそういうことは…絶対にしな、い、です」
しどろもどろでそう答えるが達也は黙ったまま。
「達也?」と声を掛けるが返ってこない。
「あのっ…」
達也の大きな体が覆い被さっていて、身動きが取れないし、段々と重くて苦しくなってきた。
それでも反応がなくて、怪訝に思っていると、ガチャと突然部屋の扉が開いて、幸さんが現れた。