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Blindfold
第29章 スミレ
「呑めないならそう言ってくれれば良かったのに…」
「まぁヤケを起こしそうな雰囲気だったから、こうなると思ってたけどね……」
「………私のせいですね」
うまく説明出来ないまま、誤解させた上に、心配させたりイラつかせてしまったことは本当に心苦しい。
しかも、どこから寝てたから分からないから、ちゃんと誤解を解け切れたのかも分からない。
「ごめんなさい」
額に手を添えて、眠っている店長に声を掛ける。
それにしてもよく寝てる。
こんなにお酒に弱いのにどうしてバーを開こうだなんて思ったんだろうか……
「今夜はここで寝かしておくから」
「……………」
「桜ちゃんは帰っても大丈夫よ」
「でも……」
「大丈夫。ここは今日はもう使わないし、転がしておけばいいから」
奥からブランケットを持ってきた拓也さんは、そのままそっと優しくそれを、店長に掛けた。
「……私…もう明日店長の誕生日、祝っちゃおうと思います」
「え? もう?」
「はい。ちょうど…明日定休日ですし、このまま嘘つくのも誤解させちゃうのも良くないなって思って」
当日に固執してたけど、もうそんなことを言ってられるような状況じゃない気がした。
何より、早く誤解を解きたいし…。