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Blindfold
第29章 スミレ
翌日、早起きをした私はすぐにスマホを見た。
もちろん何も連絡は来ていない。
店長はお店終えた後に「radice」に来たんだろうから疲れているだろうし、何より昨日のあの爆睡具合からしてこんなに早くは起きないだろう。
LINEを開いた私は、「昨日はごめんなさい」と「起きたら電話ください」とだけ送って支度を始めた私は、そのまま家を出てスーパーに寄ってから店長の家へと向かった。
道すがら、ダメ元で葵に電話を掛けると、「はぁぁあい」と呑気な声が返ってきた。
少し張り詰めていたこの1日のことを考えると、そんな声だけでホッとしている自分がいる。
絶対に性格が合わないと思っていたけれど、そんなこともなかった、というか、頼りにしている自分に自分自身が驚いている。
「ごめん……あの、今日は、学校?」
「今日……は、午前中で終わっちゃう日です。 どうかしました?」
「いや、あの……実は色々あって、今日、店長のお祝いしようかと思ってて」
昨日のあの後のあれこれを話していると、電話口でも葵は芸人になれるんじゃって言うくらいいいリアクションをしていた。
「つまりは……もし時間があったら買い物とかを手伝って欲しいって思っ────」
「──── ぜひ!!! 行きます!! やったーー!!桜さんたちの甘々バースデーの準備をお手伝いできるなんてサイコー!!!」
大きな声に思わずスマホを耳から離した。
とにかく、手伝ってくれるようでよかった。
「ありがとう後でまた連絡するね」
丁度店長の家に着いた私は、そう言って電話を切った。