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Blindfold
第30章 ハッピーバースデー
「…………………」
シーンと静まり返った中で、私は苦笑いを向ける。
「………何が、めでてぇんだよ」
「あの……ちょっと早くなっちゃいましたけど…誕生日…」
恐る恐る呟くと、店長は軽く目を見開いて、「誕生日…」と復唱した。
「色々、嘘ついたり誤解させたりして、本当にごめんなさい」
クラッカーを掴んだまま軽く頭を下げるけど、店長は何も話さない。
まだ状況を飲み込めていないって顔だ。
まぁ、そりゃそうかもしれない。
「あの……。色々私なりに準備したんで…とりあえず中に…」
玄関で立ちすくんでいるのも居心地が悪くて、私はそのまま店長を中へと誘った。
部屋の中に入った店長は、部屋の風船やら「Happy Birthday」の飾り付けをじっと見ている。
葵に手伝ってもらったからか、思ったよりもガーリーで大袈裟になってしまった自覚はある。
「……あの…すみません、やりすぎ…ました」
「い…や……」
そのままくるりと振り返った店長は、キッチンの方を覗いている。
それにハッとした私は、キッチンの方に向かった。
「あの、お腹すいてます……?」
「………まぁ」
「……すぐ出すんで、ちょっと待ってください」