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Blindfold
第30章 ハッピーバースデー


用意しておいたお皿にご飯を入れた私は、そのまま鍋の中のカレーをよそう。


慣れない料理で、時間がかかってしまったけど、失敗はしていないはず。


テーブルに座った店長の前に、そっとお皿を置くと、店長はそのカレーをじっと見ていた。




「……多分…そんなに不味くはない…はず、です」


「………ありがとう」



小さくそう呟いた店長は、スプーンを掴んでそのまま一口掬うと、口の中にカレーを入れ込んだ。


その様子を私はじっと見つめる。



「……うん…うまい」


「よかった、です」



少し胸を撫で下ろすけど、いまいち店長が喜んでいるのかそうじゃないのかよく分からない。


まだ不安が残る中、私はまたハッとして冷蔵庫の中からケーキを取り出して、カレーを食べている店長の前に置いた。




「あの、ごめんなさい、順番間違えました……っ」


「……………」


「本当は、ケーキのろうそく店長に消してもらってから、カレー準備してってするつもりだったんですけど……」



準備をしたにもかかわらず、緊張からか、グダグダになっている。


慌てていると、店長は座りながら、私の手首を掴んで「桜」と私の名を呼んだ。







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